「第1回全日本ステージ・レース in いわて」が行われました。
昨年の名称は「みちのくステージ・レース」、それ以前は「ツール・ド・とうほく」、
東北地方を舞台としたこのレースの歴史は古く、
昭和27年に「三笠宮杯東北一周自転車競走」が誕生した国内では数少ないステージレースです。
以前は男子エリートのカテゴリーもあったそうですが現在は、女子および男子高校生のみで、
全国各地域選抜された選手が競う大会となっています。
国内女子レースでチーム戦のステージレースができるのは、私が知る限りこのレースしかありません。
●女子競技内容
7月10日(金)午前 |
第1ステージ |
個人タイムトライアル |
6.7キロ |
安比高原コース |
7月10日(金)午後 |
第2ステージ |
クリテリウム |
39.3キロ |
安比高原コース |
7月11日(土) |
第3ステージ |
ロードレース |
62.4キロ |
岩手山パノラマラインコース |
7月12日(日) |
第4ステージ |
ロードレース |
50.8キロ |
岩手山パノラマラインコース |
●女子参加チーム
・SHARE THE ROAD Team Mark M |
/4名 |
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・全国高体連選抜 |
/4名 |
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・VOLCAオードビーBOMA・UVEX |
/4名 |
(私は、VOLCAチームから出場しました。) |
・Ready Go JAPAN |
/4名 |
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・札幌選抜チーム |
/4名 |
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5チーム20名でレースを繰り広げます。
●競技方法
■団体総合
各チーム4名の選手を出走させ、各ステージの各チーム上位2名の累計タイムにより順位を決定する。
■個人総合
各ステージのボーナス・タイムとペナルティ・タイムを考慮して計算した累計タイムにより順位を決定する。
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7月10日(金)午前 第1ステージ 個人タイムトライアル 会場:安比高原コース
コース:6.7キロ 個人結果:13位
前夜から雨が窓に吹き付ける音がやまず、当日の朝も嵐のような天候。
スタート前に雨はやんだものの、風が回って突風が吹き荒れている。
タイムトライアルのスタイルのイメージは、TTマシーン、ディスクホイールに流線型のヘルメットにワンピースのジャージ。
でもそんな用意は、ほとんどの選手もしていない。もちろん、初めてTTをする私もバイクもホイールもヘルメットもいつものもの。
短い距離の中で自分の力を出し切れるか、どうペース配分していくか難しいところだ。
9:00から1分おきで9:02にスタート。私は20人中3番目。
バイクのサドルを後ろから係りの人に持ってもらい、カウントダウンされてスタート。
安比高原は、スキー場。昔スキーに来たことがある。平坦なわけはない。
アップダウンが続き、いきおいに乗りスピードはグングン上った。
風は強いが、周りの選手の影響が無く、一人で走るのが気持ちよくペースは上った。
中間くらいで私の1分前にスタートした2番目の走者を抜いた。
調子がよかったのはここらまでで、後半から半分は登りで、きつくなってしまった。
最終コーナー手前は若干登りに加え山から正面きって突風が吹き、真っすぐ進むのがやっとでコーナーを曲がりゴールした。
タイム:14′43″54 トップとの差 2′03″
後半がタレすぎた。
ペース配分と無駄なものをなくせば次回はもっとうまくできるだとうと、初タイムトライアルは終わった。
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7月10日(金)午後 第2ステージ クリテリウム 会場:安比高原コース
コース:39.3キロ=5.7キロ+(4.8キロx7周) 個人結果:DNF
クリテリウムは平坦なコースをぐるぐる回るものと思っていた。
前日にクリテリウムコースを試走し、その考えはふっとんだ。
一周約5キロの周回コース、前半は下るだけ下ったら2キロ120メートルの高さを一気に登る。
当日午後は、陽が差すようになったが、風は変わらず吹き荒れて時々細かな雨も降った。
ホテル前からパレード走行で男子の後、女子がスタート。
審判車の誘導でスピードを押さえながら集団で下る。
車からGOサインがでて、レースがスタート。
登りが始まると、集団は散り始める。
私は、先頭集団から落ち、前にいる選手を追いながら走る。
<この登りをあと7回。。。>
前の選手が見えてはいるが追いつかず、7周目の登りで後ろからきた3選手に吸収され、ちょうど脇を男子選手に通過される。
ホームストレートを通過すると、
「女子トップがゴールしたので、女子レースは終了。」
とアナウンスが聞こえた。
「???」
私がいた集団の4選手一同、今何か言ったような。。思いもよらない終わりだった。
まさかラップされるとは思わなかったし、トップに抜かされた覚えがなかった。
後で聞くと、男子に混ざっていたようだ。
私たちの前までが完走ラインで、私以降の選手のタイムは最終走者のタイムにプラス10分がついてしまった。
DNFだけど、翌日もレースができる。
夜に、タイムトライアルとクリテリウムのリザルトがでた。
1日目2ステージレース終了時は、5チーム中、3位。2位との差は、1分12秒。
逆転を狙って、翌日のレースのためのチームミーティングをする。
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7月11日(土) 第3ステージ ロードレース 会場:岩手山パノラマラインコース
コース:62.4キロ=0.4キロ+(15.5キロx4周) 個人結果:13位
前日までの天気とは、うって変わって、おだやかで初夏を感じさせる陽気となった。
3日前に開通したばかりという岩手山パノラマラインへ会場を移す。
男子に続き女子がスタート、パレード走行で始まる。
それぞれのチームが、選手が、役目を持ってのレースとなるだろう。
誰が誰をマークしてチームがどう動くか、今回のステージレースの中で一番の山場になる。
新しい道路のパノラマラインを抜け、田んぼの脇を走ったあと、3.5キロ200メートルの高さを登る15.5キロの周回を4周走るコース。
ゆるやかなコースをパレード走行し、車からGOサインがでてレースが始まった。
登りでスピードアップされ、トップ集団から私は落ちる。
トップ集団には、チームメイトのS選手が入っている。
次の次の集団くらいにチームメイトのK選手と私と他の選手も一緒になる。
私は、彼女を先へ行かせるように走るが、他の選手もからんでくる。
そうこうしているうちだんだんと前を走る選手と距離があいてしまう。
このままではと思い、振り切って走った。
がんばってがんばって、前の選手に追いついた。
登りきった後、その選手と二人で回して行く。
なだらかな下りをぐんぐんとスピードを出していく。
田んぼの道で、後ろからK選手と他の選手集団が追いつき、5人の集団になって前を追う。
2回目の登りで、後ろの集団に追いつかれる。
チームメイトのA選手もいる。がんばって追いついてきた。集団はさらに大きくなった。
登り終わってゆるやかなコースをローテーションで行くが、ココでもまたローテする人が決まってくる。
それでもスピードは落ちず、前のグループを吸収でき、10人以上の大集団となった。
再び登りでたんたんと登り、最終周はスピードがアップされる。
ローテをする選手が決まっていてちょっとスペースをおいて連なっている選手が多く、私は声を上げる。
どこのチームとかじゃなく、これからの若い選手がローテに入らない。
先頭集団からどんどん遠くなっているのに、がんばらなくていいなんて、ない。
似たような光景だと、今年の神宮クリテをふと思い出した。
チーム1位を大差で独走しているのは、先日の全日本で表彰台に上った3選手とベテラン選手の最強チーム。
若い選手が強い選手と走れるこんないい機会に全力を尽くさないでどうするんだという思いが込み上げてくる。
私は、やるべきことをやり、できるだけ長くがんばって引いた。性格的にもアシスト役は合っている。
最後の3.5キロの登り。大集団はスピードアップされチリヂリになり、作戦通り?チームメイトの中では3番目にゴールした。
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7月12日(日) 第4ステージ ロードレース 会場:岩手山パノラマラインコース
コース:50.8キロ=0.4キロ+(12.6x4周) 結果:13位
前日の周回コースから下りや平地の部分をカットした12.6キロを4周回のコース。
3.5キロの登りは、同じく4回ある。
前日の敵対心があるような緊迫した雰囲気は薄れ、最後だからがんばろうという感じがある。
一般のレースの部から3名参加され、私たちのレースと一緒に2周回を走る。
スタートはパレード走行。
下り、平地は集団がまとまって、登りに入りペースはバラける。
登りきったとき、前後に4人の高校生選手がいた。
登りで体力を消耗し、いかにも<連れて行って〜>というオーラがでていた。
「回して行こう。」
私は言った。
そのときのローテーションはひどかった。
まっすぐ一列で走れないし、交代のタイミングも計れない。
みんなの表情には<もうダメ>といった顔をしていた。
「苦しいのは、みんな一緒だよ。」
ローテのタイミングを声掛け、一人切れてしまったが、
他にも切れそうになるが声を掛け、
「前へつくようがんばれ」
と私が言えば、彼女たちはできる。
顔は前を見ること、下り平地ではフォームをなるべく低くすること、
それだけで、次の周はフォームもきれいにローテができた。
4人で行って、前の1選手を吸収した。
「後ろから来ているよ。」
と声掛ければ、スピードアップができる。
これからの若い選手に伝えたかった。
私が見せながら言いながら走ればできる選手たち。
普段は、一人で走っているのか、それともお父さんとか学校の先生とか男子選手の後ろでつくしか練習していないのか。
切れたら終わりという練習だけなのか。
一緒に走りながら指導する人がいないのが現状なのだろうと思った。
スピードが安定してきた。
「最終周だ。ギアを1つ重くしてみよう。」
それもできる。
そして、3.5キロの本当に最後になる登り。
「行きたいときに行けばいい。」
ゴールが近くなるにつれ、スピードがアップして、落ちてくる選手もいる。
あと500メートル位のところで、体力がある選手が私を見ながら、アタックを掛けた。
私はちょっと早いだろう思い1テンポ遅れて追う。
追いつけそうだったが、距離が足らず、そのままゴールラインを踏んだ。
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ずっと出たいと思っていた東北のステージレース。
しかし、いざ出場が決まると4ステージの体力があるか不安になった。
まだ走りすぎるとぐったりとしてしまうことがあったからだ。
出場が決まり当日まで時間はあまりなく、不安になるよりも<毎日がレース!>という楽しみが勝った。
そして、4ステージの3日間、レースに集中でき、楽しんだ。
レース三昧で過ごした日々は、夢のような貴重な経験だった。
チームメイトとのレース中の緊張感、レース以外のときは過去のレースや練習のことなどのおしゃべりタイム、リザルトを見ながら真剣な作戦会議。
どれも初めてなことばかりで、自分に足りなかった部分が埋まっていくようで充実した時間を過ごした。
今まで、レースを続けてきてよかったと思った。
チャンスはめぐってくるから、いつでもいいようにこれからも準備していたい。
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