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COG > Report > The 38th Classic 300km Endurance Race TOKYO->ITOIGAWA '09
 

第38回 東京→糸魚川ファストラン 参加レポート

2009年5月23日(土) 天気:くもりのち晴れ

Tokyo-Itoigawa_FRC「いつも適当なのに、そんなに用意周到しているのを見たことない。こっちまで緊張するからやめてよ〜。」
糸魚川の準備をしていると夫に言われる。
昨年は行けなく、今年は2年ぶり4度目の挑戦。
この2年間、たくさんのレースにでて経験を重ねたけれど、糸魚川は特別なイベントだ。
それは、普段では走らない距離の長さを想像し、天候から衣類や補給、装備をひとつひとつ選ぶことで、300キロを自分の力で走る覚悟をするのだ。
それと、昨年から変わった白馬CPに加え、今年は推奨コースも変更されているからチェックを怠らない。
2年ぶりとはいえ、あのときの自分よりも速くなっているだろうという思いも持って、高尾山へ向かった。

高尾山登山口を3:45にスタート。
20人くらいのグループで、ロングには程よいスピードで大垂水峠を登りはじめる。
だんだんとスピードが落ちてきたので、私が先頭まで行き引っ張ろうと後ろを見ると集団をちぎっていた。
数名はついてきて、峠を越えてからも前後しながら、一緒に走る。
前のグループから落ちてきた人、後ろのグループから上ってきた人、交ざりながら糸魚川を目指す。

韮崎の手前で私のスピードが落ちた。
どうも身体がヘンだ。
お腹がすいていたのか、CPに辿り着き、おいなりさんをほおばる。
リスタートはスピードが乗るが、富士見峠の前からエネルギーが切れたようだ。
低気圧に入ってしまったのか。
直前に代えたサドルがいけなかったのか、当たって痛いところができている。

先の方に走っていた夫が、遅れだした私に気づきスピードを落として走っているのが小さく見える。
「行っていいのに、ごめん〜〜。」
と内心いっぱいに思った。
一昨年、序盤にちぎって逃げた私は、反省しきりだった。
朝練だって、ちぎって行ったり。。それだけじゃない。
海に慣れていないのに泳がせて、目の前に捕まえようとしていた浮きを奪い取ったり、
長距離を走ったことがないのに、フルマラソンへ誘ったり、
本当にいままで、ごめんー。
文化系な男が、私のスパルタ教育で体力がつき、自信を持って走る男に変わっていた。

私は、体力が続かなかった。
ここのところ、インターバルばかりしていたからだろうか。
強い向かい風のせいなのか、身体に力が入らない。
列車に乗っていく夫を見送る。今回は負けだ。
その後もなかなか回復しない。
脇を抜かしていくサイクリストについていこうも力が入らず、ひとり力なしにペダルを踏む。
頭の中は、あの日からずっと聴いているRCが流れる。
なぜかノリノリのロックじゃない曲ばかりが流れる。
一向に風向きは変わらず、強い向かい風にじわーっとなだらかに登っているのが先まで見える道でペダルが重い。
がんばれない。弱い自分と向き合った。
終わりがこないんじゃないかと思えるくらい長い時間だった。
でも人に助けられたりして、ペダルを踏み続ければ、糸魚川に辿り着く。

走り終わり、あ〜苦しかった。。
そう、300キロってこんなに苦しかったの、忘れていた。
でも、サドルを代えればいいのか、
やはりロングはスチームフレームがいいのか、
ホイールが重たかったのか、
ロングの練習が足りなかったのか、いろいろと考え巡ってしまう。
時間が経つとこんなに苦しかったのを忘れて、また行きたくなっちゃうんだろうな。

ひとり旅は、つらい時間が長い。
それを吹き飛ばしてくれるのが、仲間たちのそれぞれの糸魚川の話。
T氏は糸魚川を「大人の修学旅行」といって、走り終わった後の話を聞くのが楽しみのようだ。
相部屋になった他チームのサイクリストの話も聞けて、初めて同士でも同じ温度で共有できるのは、それぞれが糸魚川を楽しんだからだろう。
「また、来年〜。」
とあいさつをして、旅はまだまだ続くのだ。

道中やホテルにて「コグコグで走った」というサイクリストに声を掛けてもらったり、
見たことあるかなと思うサイクリストもいて、みんなも何とか糸魚川を目指して走ってきたんだと思った。
「コグコグ」をはじめて3年が過ぎ、私の本来の目的が、ようやく表面に見えてきた。
はじめのころ、言い続けてきたこと。
「スポーツバイクを持ったサイクリスト一人ひとりが、それぞれに合った目標や目的を持って自転車の楽しみを見つけよう。」
またひとつ願いが叶ったと勝手ながらに思った。