日本一を決めるレースに昨年より20人も多い(実業団レースの2倍位の)50人近くの女子選手がエントリーし、全国からこのレースに挑むため広島へ来ている。
私はここ広島のコースを昨年の全日本の際に1度走っている。
テクニカルな下りのカーブ、アップダウンが続き、後半にきつい登りの3段坂がある1周12.3キロ、実力の差がでる全日本チャンピオンを決めるレースにふさわしい厳しいコースだ。
女子はそのコースを7周、86.1キロを走る。
この厳しいコースでこの距離のレースでは本当に強い選手しか残れない。
沖美穂選手が引退した後の全日本ということもあり誰が勝つか予想がつかない。
若い力のある選手、ベテランで実力ある選手、オランダから参戦の荻島選手やMTBの片山選手の名前が並び、お決まりではない誰もが狙ってくる注目のレースだ。
8:00 女子レーススタート
女子レースではあまりない大きな集団で一斉にスタートする。
下り基調で始まるテクニカルなコースが続き、集団はスピーディーに進み、列は細く長くなりブラインドコーナーで先頭が見えない。
さすが全日本級のレース。大きな集団でも接触落車の音はしなかった。
私は、真ん中よりも後ろの方で走っていただろうと思う。
レース開始後は苦しくて、なんとか集団に付いていく感じだった。
少し登りになったとき、先頭集団と切れていないことが確認できる。
が、しかしコース後半にある、きつい三段坂の登りで先頭集団は見えなくなった。
1周目で、先頭集団は半分の人数になっただろう。
振り落とされた第3集団位だろうか、私を含めた選手6名が一団となり追走する。
足が揃っているはずだがローテが回らない。
声を掛け合うが、結局ローテができる選手だけが回している。
周回を重ねタイムを見る。
実業団レースではライバルになるT選手ともこの全日本は協力して完走を目指す。
前の集団が見えてきた。
完走ギリギリラインだと思うから声を掛け合いながら必死で走る。
4周目の三段坂で最後尾になったのだろう、後方から車のエンジンの音がする。
ホームストレートで大会からの補給の水を受け取り5周目に入った。
ココらで最後まで行けるか、これが最終周になるのか、分かれるところを感じ取りペースアップした。
三段坂では、あまりに苦しくて気持ちが悪い。
なんとかホームストレートへ行くと赤旗が振られ私のレースは終わった。
足きりにならなくともあと2周走る体力はなかっただろう、もういっぱいだった。
苦しかった開放感と終わった安堵で、しばらくゴール地点から動けない。
一緒に走っていたT選手とレースを振り返る。
最終周に勝負をかけた先頭集団が入ってきた。
その2〜30秒遅れて、荻島選手が一人で走っていた。
「おぎしまさ〜ん!!」
私は声援を送った。
実況のDJがらぱさんから、その後荻島選手は集団に追いつき、アタックを掛けたとアナウンスが聞こえた。
また、他の選手がアタックがいくつも繰り返されて、誰がくるか予測ができない。
私も会場内も興奮の渦だった。
そして、最後、スプリント勝負になり西選手がトップでゴールした。
全日本優勝を目指したゆまぬ努力をされ、それがにじみ出たかのような気迫、勝つことの強さを間近で見て、鳥肌が立つほどすごさを感じた。
86.1キロ、3時間近くのレースをする体力には、私はまだまだ足りない。
昨年、初めて出場した全日本、初めて走った広島のコースは、自分でプレッシャーをかけて、何が何だかわからなかった。
今年は、やったことを出し切ろうと挑んだ。
プレッシャーは少しになったけれど、レースでは練習でやったことしかでないわけで、体調次第でそれ以下にはなるかもしれないが、それ以上にはならない。
半年前、ほぼゼロの状態から、春先からできることを少しづつ伸ばし、何とかここまでこぎつけた。
昨年より1周多く走れただけでも一歩前進したと思う。
練習の足りなさから自信が無かった。
来年は、堂々と走れるようにがんばりたい。
応援してくださった方々、ありがとうございました。
今回の全日本レースから「Racing CUBE」に移籍しました。
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