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「きっとウチだけだよ、夫婦直接対決ができるのって。出てみる？」
翌週、夫はチャレンジにロードレース初挑戦の予定。
20年前に2輪レース、10年前にBMXレースを経験していても、修善寺に行ったことがなく、いきなり全国レベルのチャレンジロードは大丈夫かなと思い声を掛けた。
「昨年の私？一応その前に鈴鹿、茂木、菅生とか…ジャパンカップのコースも前に走ったことあったよ。」
申し込みも迫っていたので、即決で一緒に参戦することになった。
コースは、ウィンターロードとは逆周りの左周りで4周半。チャレンジロードレースと同じ周り方になる。
10：03 夫が走る男子Cクラスと同時に女子クラスもスタート。
下りで始まる。勢いがつくカーブで夫が先頭集団の後ろの方についているのが見える。
1号橋を過ぎ登りが始まる。
夫が落ちてきたのか、私が落ちなかったのか。
夫を抜かし、それ以降レース終了まで彼を見ることはなかった。
前にピンクのヘルメットキャップは一人いる。
2号橋を過ぎ、登りで抜くが、抜き返される。
でもこのまま、離れちゃいけないと懸命に登る。
久々の左周りは、やっぱりきつい。
コースの起伏で、その間が伸びたり縮んだりと見える範囲でいるが、捕らえて前にでるまでに至らない。
私は今回、直前まで具合が悪くて、体力がどこまで戻っているのか自信がなかった。
いつ切れてもおかしくないが、それでは去年と同じレースになってしまう。
前のピンクヘルメットキャップは、Tさん。
去年から何度も同じレースを走ったが、毎回経験が豊富なのを思い知らされた。
もう離れまいと、Tさんを追った。
時々見えなくなることもあったが、最終周の2号橋を過ぎ、登りでTさんに並んだ。
私はフっと力が抜け、全力で登った。
後ろを振り返らず、これ以上速くできないーってくらい、めいいっぱいペダルを回した。
そうしたら、秀峰亭前のゴールに1番で辿り着いた。
レースが終わり、Tさんにあいさつをすると、気さくに話してくれた。
自分では気がつかない、ベテラン選手から見てわかること率直に言ってくれ、改めてわかることがあった。
「今シーズン楽しみだね。来週、来るでしょ？」
レースを続けていく中で、一言が励みになる。
夫との直接対決は、去年の糸魚川以来2回目。
これで私の2勝だ。まだまだ負けられないぞ！
しかしながら、初めてレースに出るとなると、いろいろと心配した。
送り出す役を、私の方がチャレンジ前に経験しといてよかったと思った。
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