今回で15回目を数える「ユーロバイク」、期間は、2006年8月31日〜9月3日、ドイツ・ボーデン湖畔近くフリードリッヒスハーフェンのメッセ会場で開催されました。初日から3日間は自転車業界関係者のみの入場となっていて、世界中から31,810人の取引関係者、32ヶ国1,064人のジャーナリストが集りました。最終日の9月3日(日)は、サイクルファンのためにオープンされ、その日の入場者はなんと、19,684人だったそうです。これらの数字が1桁まで正確なのは、受付でオンラインによる処理がされているからです。また、事前の入場申し込みもホームページですることができ、申込者数などの情報は、ホームページに即時公開されています。インターネットが有効活用されています。
今回2回目の視察になるユーロバイク、今年もどのような展開かを楽しみにしていました。チューリッヒから会場までは、シャトルバスを利用しましたが、昨年よりも渋滞が激しく、ユーロバイクへ行く車で混雑していました。入場者が増えて注目度が上がっているのがうかがえます。会場近くになり、ゆっくり進むバスからユーロバイクのポスターが見えました。昨年のものとまったく同様のものが貼ってありました。余分な費用を掛けずに済ませる堅実なドイツの国民性が感じられます。さらに会場内へ入りざくっと見渡すと、ブースの配置や装飾が同じ、デモストレーションしている女性も、メーカーポスターのモデルも、ファッションショーのダンサーも...見覚えのある顔でした。全体的には、昨年よりも人は多くなり、会場内も盛り上がっていました。
今年もフレームメーカーの多くは、幅広のカーボンをフレームに採用していました。また、シートステイの長さがトップチューブから長くなっているのも多くありました。BMC、TREK、GIANTなどは、スーパーヒーローの不在にブースの物足りなさを感じました。
パーツメーカーに人々の注目が注がれていました。Canpagnoloのリニューアル、ShimanoのニューXTR、SRAMのロードパーツのFORCE、RIVALリリースなど、ニューリリースがありメーカーもアピールしていました。誰でも試せるようにローラー台にセットしてありました。私もSRAMのFORCEを試してみたところ、とても快適でした。メーカー完成車のロードバイクにSRAMを採用しているところも多かったので、今後のシェアが気になるところです。
昨年よりも女性ものが増えているように思いました。完成車メーカーのレディースラインナップが増えていました。GIANTのブースでは、レディースバイクを前面に飾ってあり、デザインがモノトーンでストイックな感じが素敵でした。SPECIALIZEDのブースではレディースのコーナーとしてスペースがあり、バイクだけでなく、ヘルメット、ウェア、グローブ、サドル、シューズなど細かく展開していました。ウエアメーカーが集まっているホールには、レディースウェアが多く見えましたが、どれも赤やピンク、花柄が多くて派手なデザインでした。欧米では、スポーツとして旅の手段として自転車に乗っている女性が多くいるので、メーカーが展開しているバイクやウエアは、受け入れられると思います。日本では、自転車と遊ぶ女性はまだ全体的には少なく、自転車を選択した女性には個性があり、独立心も高いと思います。欧米と日本の女性サイクリストのマーケットには違いがあると思いますので、日本で展開するには、それらの点を重視することも必要だと思います。
最終日の日曜日は、ファンのための催しが行われ、野外ステージでロックコンサートが繰り広げられたようです。来訪者が芝生の広場でサイクリング仲間とくつろいでいたりする姿は、自転車の祭典といった感じが伝わってきます。それらのようすは、TVや新聞のニュースでも見ることができました。
会場から一歩、外へでてみると、誰もが自分のスタイルで自転車に乗っている姿が見られました。スポーツ、旅、生活にそれぞれ用途があり、自転車に取り付けるものに種類があります。カゴの種類、前・後ろ、アタッチメント、キャリア、バッグ、荷物のためやキッズが乗るリヤカー、などなど多くの種類の用品を、ユーザーは必要としています。小さなパーツのメーカーでも出展があったユーロバイクの会場では、826社が出展しており、ヨーロッパの自転車文化を支えていることがうかがえました。
ユーロバイクショーのような<見るだけで満足>という、メーカーの日本展開全車種が一度で見られる自転車ショーが、実現されれば良いと思います。日本では、二分化されている自転車ショーの両方にユーザーが足を運んでも、日本で展開しているすべての自転車を見ることはできません。それに、毎年このシーズンになると、各メーカー代理店が販売店向けの展示会を行い、自転車業界関係者が日本を縦断したり、1日何十件を回らなければならない、ということがあり、どちらにも負担が掛かっていると思います。それが1回のショーで済めば、時間、労力、コストを削減できるのではないかと思うからです。ユーロバイクショーは、遥か彼方のヨーロッパで開催していることだけでも遠い存在ですが、規模や出展社数、システム、入場者数や社会注目度といった点でも、日本から見れば夢のような自転車ショーに思えました。
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